■レポート、雑感リスト
■10月28日映画のご紹介
 

みなさんこんばんは。

今日は東京は冷たい雨が降りました。

ベランダのコスモスが、雨のしずくを花びらにのせながら
ゆらゆらと揺れています。

引っ越したばかりの新しい部屋のベランダから
徐々に紅葉していく木々が見えて、とても幸せなのですが
木々が雨でしっとりと濡れているのを眺めながら
たまには雨もいいなあ・・・と午前中をぼんやりと
過ごしてしまいました。

それから授業が始まるまでの時間に、大急ぎで出かけて
『戦場のフォトグラファー』というドキュメンタリー映画を
観て来ました。
(ダイエーセールに行っちゃおうかなあ・・・と、ちょっとだけ
心が揺れましたが、この映画、東京では今週金曜日で
終わってしまうので、とにかく行ってきました。)

アフリカ・インドネシア・コソボ・パレスチナ・ブラジル・アメリカなどで
戦争・紛争・貧困・社会問題を撮りつづけて来たフォト・ジャーナリスト
ジェームズ・ナクトウェイが、自ら出演していました。

しかもそれぞれの現場で撮影中の彼のカメラに取り付けられた
小型カメラは、ずっと彼自身の視線・居場所を追っています。
それがとってもすごかった。

彼のカメラのセッテイング(数値)まで、画面上で確認できます。

そして彼が、現場の最も声なき人々、歴史の中で最も不公平で
理不尽な現実を負わされている人々の最も近くでシャッターを
切っていることがわかります。
すっごく近くで。

彼が、作品としてでなく、証言者として写真を撮っていることも
わかります。

観ていただきたいので、内容についてはあまり書きたくないの
ですが一つだけ印象的だったことを。

彼の仕事仲間で、CNN海外特派主任をしている女性が
始めはかっこいいから、歴史の真ん中に自分がいるから
やりがいがあるから、なんとなく就いた自分の仕事について
それがどれほど重たい仕事かに気づいていき、自分の
切り取ったニュースが、世界中の人々の目線となっていく
ことの重大さに気づいていくことを証言しています。
そして

『こうして死体の山を目の前にしてもなお、
世界の人々は真実を知りたがらないのよ・・』

と吐き捨てるように怒りやあきらめを表現しました。

ずんと響く言葉でした。

でもジェームズは、最近雑誌などが、こうした事実を
伝えることよりも、より大衆的な娯楽を求める傾向があり
掲載が難しくなっていることを指摘しながらも、それは
雑誌のスポンサーが、自分達の商品の横に悲しみの
写真があることで、商品イメージが下がることを懸念し
ている。
雑誌社は、私たちが喜ばないと思って掲載を
しぶる。
つまり読者(私たち)を信頼していないんだ・・・と
語ります。

『けれど、人々は真実を知りたがっている。』

『写真が私たちの中の、反戦の感覚を
呼び覚ます力を持っていることを信じている』

・・・と希望を語ります。

そして彼の写真は、そう語るにふさわしいものでした。

最近『反戦』に対してシニカルで、守るためには軍も
必要・・・という意見を平気で言う人たちもいます。

そうなのかもしれませんが、その人たちは、絶対に
その人が認める爆弾あるいは製造する地雷を、
一度でも自分に向けて使うことは前提にしていません。
それは「国家」とか「我々」という組織の中で語られた
言葉なのです。

けれども彼の写真は、『反戦』という感情を、理想とか
そういうものではなく、私たちの本能から思い出させて
くれる、そういう力を持っていました。

そしてそれだけを信じて撮りつづけているのだという
彼の、もの凄い気迫と深い愛情に包まれて帰ってきました。

とにかく観てほしいです。

東京 : 東京都写真美術館ホール 9/6(土)〜10/31(金)
大阪: OS劇場C・A・P 9/6(土)〜9/26(金)
名古屋: シネマテーク 11/8(土)〜21(金)
京都: 京極弥生座 10/4(土)〜17(金)
岡山: シネマクレール 11/1(土)〜14(火)
大阪: アポロシネマ 11/23(日),24(月)
広島: サロンシネマ 2004年1月予定
静岡: 沼津名画座 12/6(土)〜19(金)
札幌: シアターキノ 12/6(土)〜19(金)
福岡: シネテリエ天神 12月上旬
東京: 下高井戸シネマ 時期未定
横浜: 関内MGA 時期未定 愛媛: シネマルナティック 時期未定

森沢典子

 
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