■レポート、雑感リスト
■12月5日 目撃者
 

12月に入ったというのに、台風が来たり、あたたかい日が
続いていてビックリですね。
札幌や帯広の方たちからは、今だに雪が降らずあたたかい
冬に拍子抜けしているというお便りをいただきました。

私の部屋のベランダでも、つい最近までコスモスが咲き続け
もう球根を植えないと、これ以上遅くなると芽が出ないぞ・・・と
先日エェ−ィ!っと植え替え、チューリップやムスカリやクロッカスなどの
球根を植えました。
小さなベランダでも、土いじりはとっても気持ちがよくて
楽しい作業です。

畑、欲しいなあ。

明日から寒くなるみたいです。
お体大切にしてくださいね。

イラクについて感じたことを書きました。

長かったので二編に分けた前半部分だけお送りします。

よかったらお読みになってください。
森沢典子
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「目撃者」

イラクで二人の日本人外交官が殺害された後も
私たちの国の政府は「テロに屈しない」「やるべきことをやるだけ」と
子どもみたいに繰り返しています。

二人の悲しすぎる死は、小泉政権によるイラク攻撃支持、
自衛隊派遣という「小泉政策」が起こした最初の犠牲者で
あるにもかかわらず、その責任の重さについて小泉首相や
川口外務大臣は自らを少しも責めないのは何故なのでしょう?

そうした問責に一切触れることなく、まるで他人事で
あるかのように亡くなった二人を英雄化し
「たじろがず」「派遣する」ということを美化しながら
押し通そうとしているように思えます。

昨日のアメリカの大手メディアも、亡くなられた奥さんが
ご自身のホームページで「テロに屈せず闘おう」と書いて
いた部分だけを取り上げ「日本はこの痛みを乗り越え、
進んで自衛隊を派遣するだろう」と報道し葉っぱをかけてきています。

でもいったい私たちは今、何と闘っているというのでしょう?
私たちはイラクの人々からこれまで一度もテロ攻撃を
受けたことなどないのです。

また今イラクで起きている米兵や他国の軍、外国人に向けられた
攻撃は「テロ」ではなく「抵抗」であるということも多くのジャーナリスや
専門家が語っていますが、その事実は、米兵や外国人の
死のたびに「自分たちが犠牲者になる」ことで、覆い隠して
しまっています。

イラクの人々がニューヨークや東京までやってきて私たちを
攻撃しているのではないのです。
アメリカ軍がイラクへ行って一般市民を巻き込み
大規模な攻撃を繰り返したのです。
そこに日本もアメリカの要請で支援部隊を送り込もうと
しているのです。

今年行われたイラクへの「戦争」がどんな風に始まった
のかは、過去のどの戦争よりも多くの目撃者が
いました。
私たちのことです。

「テロとの戦い」、でもイラクはテロと関わりがなかった。
「大量破壊兵器」、でも見つからなかった。
「フセイン政権打倒」、でもフセインはどこ?
「イラクを民主化」、でも泥沼化。

こんないいかげんな理由をとっかえひっかえ掲げ、
ブッシュ大統領が「戦争終結」を告げるまでの間に
6000人以上の民間人が、アメリカ産の劣化ウラン弾や
クラスター爆弾などの大量破壊兵器で殺されたことも
多くの人びとが知ってます。

イラクで暮らしていた人々にとって、それはどれほどの屈辱、
どれほどの悲しみ、どれほどの怒りであったことでしょう。

そんな状況をすべてのイラクの人々が、いったいどのように
歓迎し、一切の抵抗をせず、感激と共に受け入れると
いうのでしょう?

それでも尚、大儀に従った正当な戦争だと言うならば、
戦争なのですから反撃は前提とされるものです。

これ以上人の死を美化し、無駄な混乱をイラクの地に
繰り広げれば、私たちからもより多くの犠牲者を出し
私たちにとって敵でもなんでもなかったイラクの
人々と、いよいよ取り返しのつかない「敵対関係」に
なってしまいます。
攻撃してきたアメリカと共に動き、銃を持ってイラク入りし
「人道支援」と銘打つのは、あまりにも一方的な話です。

しかも、アメリカがどんなに兵を送り込んでもけして安定しない
イラクで、日本が自衛隊を送ることにどんな意味が
あるのか今だに私たちに対して十分な説明もないまま
秘密裏にことが決定され、来週中にも決定したら「報告する」と
小泉さんや福田さんは繰り返しています。

永田町のほんの一部の人びとが、戦後日本が築いてきた
大きな何かを崩してまでも派遣にこだわる姿は
どこか狂信的にさえ映ります。

(イラクを支援って、まさか行ってアメリカ軍と戦うという
わけではないですよね!?)
本当にイラクを支援したいのならば、まずアメリカ政府に
一国主導主義をあきらめさせ、占領を終結し、国際社会の
監視のもと、イラク民によって国家の再建が行えるよう
最大の協力をしてほしいと思います。

日本は、アメリカを説得するだけの影響力を
持っているはずです。

これは憶測に過ぎませんが、アメリカ政府は、これまでも、
アメリカ政府に都合の悪い国家に対して容赦のない対応を
とってきましたから、もしも今派遣を断念したら、経済制裁や
国際的な非難を煽るなどの仕打ちをうけ、日本は経済的にも
政治的にも孤立し、低迷するのかもしれません。
だから小泉政権が派遣にこだわり、アメリカ政府の動き一つ一つに
おびえる気持ちがあるのかもしれません。
その点については、私も不気味で恐ろしい感覚に襲われます。
私たちにとって本当の脅威は、実はそれであるのかもしれないとも
感じています。

でもこのまま進んでも、アメリカ政府がいずれ孤立化し、
それを追従する日本やイギリスも、結局は国際社会の中で
孤立していくように思います。

(かつても日独伊三国同盟→孤立・・・みたいな時代がありました)

ならば、私たちが本当に屈するべきでないものは、
痛みを伴い向き合っていかなくてはならないのは、
アメリカとの関係であるはずです。

アメリカと共に歩もうとするのならなおさら、アメリカを孤立への
道から引き戻し、そうすることで日本のイニシアチブを強めて
行って欲しいです。

もう長いことずっと前からそうだったはずなのに
それをあきらめ、自分たちがどうなりたいかよりも、自分たちがどう
評価されるかばかりを追ってきてしまった大きなツケに
今ぶち当たっているように思えてなりません。

だから今は、むしろアジアや中東(小アジア)と独自の信頼関係を
築いてほしいと感じています。

日本の一番の足元の弱さは、アメリカに追従するあまり
独自の外交を繰り広げてこなかった、特にアジアの地域で
それを怠ってきたこと、いつのまにかアメリカに依存しすぎていて
政策的な支配を受けてしまっていることでしょう。

そんなことはない・・・というのならば、今すぐ派遣を取りやめることは
そんなに難しいことではないはずです。

(以下省略)
森沢典子

 
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